インストーカー

恋愛小説を毎日連載していきます。

インストーカー10

あらすじ

 都内の大学に通う結城星彦は、不本意に入学したこの大学で、初恋の人にそっくりなシズカに出会う。
  シズカとはゼミが同じだったが、後期になっても自分の存在を知られていなかったことを知り、星彦は一大決心をする。

 

登場人物

結城星彦…片思いに悩む、関東の地方都市出身の大学生。印象が薄く、好きな女性に存在を知られていなかったことに大きなショックを受けている。

シズカ…星彦が片思いをしている女性。穏やかだが感情がわかりにくく、付き合いにくい。

理人…星彦の親友。六本木で生まれ育ったおしゃれ男子。

愛梨…理人の彼女。ぽっちゃり体型が悩みで、食べることが大好きなのに我慢の日々である。

雅貴…地方出身の仮面浪人生。星彦が信頼を置いている。

 

その10

 「ねぇ、星彦、聞いてる?」
 「えっ? あ、あぁ。で?」
 「今問題なのは、彼女にとっておまえは透明人間なんだってこと。いきなり出ていって告ったら、突然コートの前をバァって開ける全裸おじさんにしか見えないよ。大声を上げて逃げられるに決まってる。まず、おまえの存在を知ってもらわなきゃ。自分が彼女にとって大事な人になるんだってことをアピるんだよ」
 酒が入って、金八先生みたいな口調になっているが、さすがに入学後十日で女を手に入れた男は視点が鋭い。確かに納得はできる。でも、俺は理人とは違う。容姿も経験も都会的センスも何もかもだ。一般的なアピールでは全くシズカには通じないだろう。今までだって十分頑張ってきたのに、いまだに透明人間なんだから、相手は相当手強い。
 「得意なもので勝負するってことだよね。ゼミの発表なんかどう? ずっと代表委員とかやってたから、人前に出るのは得意だよ。シズカは大学院希望みたいだから、俺の素晴らしい和歌の解釈を発表すれば、大学で伝説のカップル誕生ってなるかもね」
 八ヶ月間シズカを追い続けてわかったことだが、シズカは大学院を親に勧められているらしい。文学部の大学院を勧める親なんて、すごい変わり者だなと思った。よほどの金持ちかバカかどちらかだろう。バカであって欲しくはないが、金持ちがろくでもないことも附属にいてよくわかっているつもりだ。